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紀州藩主を魅了した絶景


紀州藩主である紀州徳川家にとっても重要な場所であった和歌の浦。
東照宮が置かれ、不老橋が整備され、
景勝を活かした名庭園も造られ大いに発展した。

『和歌浦・厳島図屏風のうち和歌浦図』江戸時代前期の作品で、濃いめの彩色で緻密に描写されており、たなびく金雲の大部分は金箔を貼ったもの。6曲1隻、紙本著色

和歌浦図関係資料わかうらずかんけいしりょう

和歌の浦は日本三景と並ぶ名所として、さまざまな形で名所図屏風に描かれた。近世には東照宮が主体に描かれることが多くなる。
『和歌浦図屏風』和歌山県立博物館所蔵

073-436-8670

和歌の浦に東照宮を建立

江戸時代に入り、将軍家に次ぐ高い家格を与えられた徳川御三家のひとつである紀州徳川家が紀州藩主となる。和歌の浦の絶景は、歴代藩主をも魅了した。
元和5年(1619)に徳川家康の十男である頼宣が、初代藩主として和歌山城に入城する。元和7年(1621)には和歌の浦の権現山に父・家康を祀る紀州東照宮を創建。その翌年から頼宣が始めた例大祭が和歌祭。不老橋は和歌祭の御成道として江戸時代後期に建造されたものだ。現在も祭りは継承され、108段の急峻な参道の石段を神輿が勇壮に下り、戦国時代の名残を残す多彩な演舞を披露。総勢1000人もの行列が町を練り歩く様子は時代絵巻さながらだ。当時の様子は和歌浦図として屏風絵や絵巻物に描かれ、昔日の面影を今も偲ぶことができる。

風景を愛でる庭園や茶室も

紀州藩主随一の文化人であった十代藩主・治宝(はるとみ)は、高津子山の山並みを借景に、和歌の浦の景勝を活かし、海水をとり込む汐入式の大名庭園である養翠園を造園。園内に茶室を設け、和歌の浦をかたどった菓子や茶器も作らせたほど、この地を深く愛した。

紀州東照宮きしゅうとうしょうぐう

紀州徳川家初代藩主・頼宣公が父・家康公の霊を祀るために造営。華麗な社殿がそびえ立ち「関西の日光」とも呼ばれる。左甚五郎作の彫刻や狩野探幽作の壁画は一見の価値あり。

073-444-0808
和歌山市和歌浦西2-1-20MAP B1
バス停権現前からすぐ
境内自由(本殿・拝殿の拝観の案内は500円)
50台(有料)

(左)重量1tもある神輿が参道を下る (右)仮面をつけて練り歩く面掛行列

和歌祭わかまつり

紀州東照宮の創建当初から伝わる例大祭で、毎年5月第2週日曜(変更の場合あり)に斎行。108段の石段を御神輿が勇壮に下り、渡御行列が練り歩く。

妹背山・海禅院多宝塔いもせやま・かいぜんいんたほうとう

初代藩主・頼宣の母である養珠院が夫・家康の33回忌に妹背山に経石を埋納した地。頼宣がその上に多宝塔を建てて菩提を弔った。

和歌山市和歌浦中MAP B1
バス停不老橋からすぐ
周辺自由
なし

三断橋さんだんきょう

紀州初代藩主・徳川頼宣が建設した、妹背山に続く県内最古の石橋。中国の景勝地である西湖堤を模している。

和歌山市和歌浦中MAP B1
バス停不老橋からすぐ
周辺自由
なし

徳川家や東照宮の関係者が祭礼の際に通る「御成道」に架けられた

不老橋ふろうばし

嘉永4年(1851)に、十代藩主・治宝の命令により和歌祭の御成道として建造されたアーチ型の石橋。勾欄部分には、雲を文様化した美しい彫刻がみられる。

和歌山市和歌浦南MAP B1
バス停不老橋からすぐ
見学自由
なし

治宝が茶を楽しんだ大名庭園。御茶屋「養翠亭」が池の畔にたたずむ

養翠園ようすいえん

高津子山などの山並みを背景にした雄大な庭園で、紀州徳川家十代藩主・治宝が造営。大名庭園としては大変珍しい、海水をとり入れた汐入式の池を配している。

073-444-1430
和歌山市西浜1164MAP A1
バス停養翠園から徒歩7分
入園600円
9~18時(9~3月は~17時)
無休
40台

お堀に架かる御橋廊下と天守閣を望む撮影スポットは和歌山市役所前周辺に

和歌山城わかやまじょう

豊臣秀吉が弟の秀長に築かせた城で、江戸時代は紀州徳川家の居城であった。虎伏山の山上にそびえ立つ天守閣から和歌山市街を見渡すことができる。

073-422-8979(和歌山城天守閣)
和歌山市一番丁3MAP B2
バス停公園前からすぐ
天守閣入場410円、御橋廊下入場無料
9~17時受付
見学自由(施設により異なる)
和歌山公園58台(有料)

(左)荘厳な森に包まれた紀州初代藩主・頼宣の墓所 (右)国宝の本堂と多宝塔、大門は鎌倉~南北朝時代の建立

長保寺ちょうほうじ

一条天皇の勅願により創建された寺院で、本堂と多宝塔、大門は国宝指定。紀州徳川家の菩提寺であり、境内の奥に壮大な森に抱かれた歴代藩主の廟所が広がる。

073-492-1030
海南市下津町上689MAP B4
JR下津駅から車で10分
拝観300円
9~16時
無休
15台

(左)名所を表した落雁を作るための木型。「和歌の浦」は3枚組の大作 (右)「名草山晩鐘」

駿河屋菓子木型するがやかしきがた

駿河屋は室町時代から続く菓子司。紀州徳川家初代・頼宣とともに紀州に移りご用達となった。十代・治宝が和歌の浦の名所を表した菓子を作らせた。

和歌山市立博物館所蔵

073-423-0003

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